第41回「早春の香り! 奈良の三大梅林」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 3月上旬、奈良は早春の香りに包まれました。梅が満開を迎えたのです。3月下旬にやっと咲き始めた去年に比べると、かなり早い開花です。

 奈良には「3大梅林」と呼ばれる名所があります。一番早く咲くのは、国名勝の月ヶ瀬梅渓。奈良市街から車で約1時間。山里を抜けると、次第に梅の木が沿道に現れます。さらに登山口から歩くこと約30分。細い山道の両側には、お食事処やみやげ物屋が軒を連ね、峠の宿場町といった雰囲気で賑やかです。 辺りには約1万本の梅の花が咲きそろい、風に乗って爽やかな香りがしてきました。木の間から、ゆったりと流れる五月川を見下ろしながら、深呼吸。早春の香りを胸いっぱい吸い込みました。

 
  眺望の美しさなら、吉野(下市町)の広橋梅林も負けてません。幾重も連なる山並み、その向こうには大和平野。この景色が見渡せる場所に、約5000本の梅林があります。観光地としてにぎわう月ヶ瀬とは対照的な静かな農村です。それもそのはず、ここは地元の人たちが、自分の畑に梅林を作っているのです。一昨年、梅林の中のベンチで休んでいると、おばあちゃんがやってきて、コーヒーと手作りの梅干をふるまってくれました。この素朴さが魅力です。

 
  最も規模が大きいのは、五條市の賀名生(あのう)梅林です。その数、約2万本! 山道に入った途端、目の前に広がる梅・梅・梅。斜面全体に薄いピンクのベールがふんわりかかったみたい。ここぞ梅の里です。調べてみると、南北朝時代、南朝の御所が置かれた場所だと分かりました。道理で高貴な香りがしたはずです。後醍醐天皇もお花見をしたのでしょうか? 花と歴史がオーバーラップする……
これも歴史ある奈良のよいところです。


 三者三様の奈良三大梅林。今度は桜にバトンタッチです!

 

 
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