| 古都に来てから3回目の冬。今シーズンは、雪がよく降ります。昨冬まではほんの数日しか降らず、知らせを聞いて出かけても午後には解け始めていました。「このチャンスを逃すまい」と、以前から見たいと思っていた<雪の寺>に出かけました。
まずは、京都の銀閣寺です。初めて訪れた時、庭掃除をしていた人が「雪の銀閣寺はきれいですよ〜!」と目を輝かせながら話してくれた顔がずっと心に残っていました。バスを降りると、一面の銀世界。パリッと引き締まった冷気、ギシッギシッと雪を踏みしめる音に心が躍ります。一呼吸おいて小さな門をくぐりました。
現れたのは、有名な黒い色の観音殿。屋根・植木・銀沙壇(庭の砂山)に積もった周囲のまぶしい白い雪と、光と影のように調和し、声を失うほどの静けさと美しさでした。新緑や紅葉も素敵ですが、雪の景色にはかないません。色のない白と黒のモノクロの世界。これこそ、「わび・さび」の心なのだ、と直感しました。
「あぁ、あの顔が物語っていたのはこのことだったんだぁ」。目頭が熱くなりました。
奈良からは室生寺(むろうじ)です。五木寛之の
『百寺巡礼』では第1回に登場し、写真家の土門拳は近くの旅館に何日も泊まって雪を待ったというお寺。
特に大きいわけではありませんが、赤を貴重とした優美な五重塔(国宝)は日本最小で、山中にひっそりあるたたずまいは、女性らしい落ち着いた雰囲気です。ここは、女人禁制だった高野山に対して、女性も参拝できる寺だったので「女人高野」と呼ばれています。
私が訪れた時、雪は融けつつありました。その代わりに、差し込んだ光が、屋根に積もった雪を照らし、五重塔の輪郭を白く強調していました。今度は、赤と白の色の共演です。
時には色を隠し、時には強調する雪の存在。古都の味わいが一層深くなりました。
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