第25回 「蘇った古都・ワルシャワ」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 ポーランドは、「黄金の秋」と呼ばれています。街路樹が黄色に染まり、広々とした野原に秋を添える10月上旬に訪れました。

 ワルシャワは、1611年、日本の江戸時代初頭に首都になりました。東欧というと、薄暗いイメージがあるかもしれませんが、実際は、駅周辺は高層ビルが並ぶ大都会です。 一方で、街の中心の旧市街は、ルネサンスやバロック様式の家々が広場を囲み、立派な王宮が立つ美しい街。世界遺産に登録されているのです。

 
 
  カパッ、カパッ・・・。早朝、観光馬車が広場へ向かいます。その後につき従うように、朝もやに濡れた石畳を歩き、街の門をくぐりました。 目の前にあるのは、高さやデザインが統一され、道の両脇にきれいに並んだ建物でした。広場では、カフェのパラソルとテーブルが並び、コーヒーを飲む人たち。子供たちは、路上の人形劇に集まっていました。普通なら、なんと歴史ある街並み!と思うところでしょうが、私は別の衝撃を受けました。


 
 実は、この街のほとんどが戦後に建てられたのです。ワルシャワは、第2次大戦で街の85%がナチス・ドイツに破壊されました。市民が蜂起したことで一層激しく攻撃されたそうです。
  しかし、戦後、1770年に描かれた街の風景画を元に、そっくりそのまま復元したのです。「ひび一本まで」忠実に再現したそうです。今では、戦後の焼け野原が想像もつかないほどに、いや古ささえ感じるほどです。ワルシャワ市民の街に対する思い入れと街の復元を成し遂げたパワーに感動しました。


 
  日本は、古いものが壊されると新しいものに作りかえるという発想が定着しています。しかし、古き良きものを蘇らせることもできるのです。それを可能にするのは市民の情熱以外にありません。日本の古い街並みを次世代に残すためのお手本のような古都でした。

 

 

 
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