第24回 「奥飛鳥、棚田のユニーク案山子」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 のどかな景観が広がる明日香村。稲の色が変わり、様々な草花が咲き、季節が目で
感じられます。 「奥飛鳥」と呼ばれる稲渕地区には、「 日本の棚田百選 」に選ばれた
棚田があります。

 山々に囲まれた小さな盆地に、やっと実った黄緑色の稲が色づく季節を待っていました。 田んぼの縁には真っ赤な彼岸花が咲いています。赤と緑のコントラストに誰もがうっとり。そこに「案山子(かかし)ロード」がありました。大八車で農作業する親子の案山子、弁慶や愛知万博マスコットの案山子、空き缶で作った案山子などが並び、遊び心いっぱいです。


  しかし、棚 田は、機械化が困難で維持するのは大変です。そこ で10年前に始められたのが棚田オーナー制でした。農業を知らない都会の人たちに区画を貸し、お米作りを体験してもらうのです。今やこの棚田は大人気。お米作りだけでなく、交流も生まれています。案山子は、オーナーさんの夏休みの宿題なのです。


 明日香村では、1980年に制定された明日香法で、厳しい制限のもとに景観が守られています。美しい景色の裏側には、地元の努力とアイデアがあることを知り、ますます明日香村が好きになりました。

 徐々に日が暮れてきました。村では「飛鳥光の回廊」と題し、石舞台遺跡や高松塚古墳、岡寺などの名所をろうそくの炎で優しく照らしていました。秋風に吹かれながら眺めていると、山から黄金の光が漏れ始めました。お月様です! 見る見るうちに姿を現し、お盆のような満月があがりました。この日は、中秋の名月だったのです。
♪リリリリリリ…… コロコロコロ……♪
月明かりの下、虫たちの声が一層大きく響きました。


 
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