第23回 「奈良に咲いた光の花」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 真夏の夜の奈良公園に、色とりどりの灯りの花畑ができました!
古都の新しい夏の風物詩、「なら燈花会(とうかえ)」です。東大寺や興福寺など7つの会場に、1万本を超すロウソクが並べられ、幻想的な世界が創り出されます。毎年お盆の時期の10日間開かれ、今年で7回目。私は母から譲り受けた絞りの浴衣で出かけました。
 まずは、興福寺五重塔を望む猿沢池。奈良を代表する風景です。池を縁取るように灯りが並び、にぎやかな出店の明かりも手伝って、五重塔を引き立てていました。


 次は竹灯りの並ぶ浅茅ヶ原。春日大社の参道脇で、普段は鹿がのんびり草を食む場所ですが、今日は別世界。光のトンネルや塔が作られ、いつもの鹿のフンも見えません。ほのかな灯りがいっそう暖かく、明るく周囲を照らしていました。小さな舞台からはハープとフルートの演奏も聞こえます。ロウソクの灯は、人の心を穏やかに優しくしてくれます。
 

 クライマックスは、東大寺近くの浮雲園地。一面を埋め尽くす灯りの海です。無数の灯りがさざなみのよう。海のない奈良で、故郷・愛媛の瀬戸内海を思い出しました。
 
 奈良には、昔から「大仏商法」という言葉があります。 大仏さんがいるだけで、観光客は集まるので、 特に営業努力は必要ないということです。しかし、バブルが崩壊し、地域経済の活性化のため、全国で観光に力を入れる動きが増えてきました。もう黙っても奈良に人が来る時代ではないのです。そして、「大仏商法」から脱却し、人を呼ぶ仕掛けをつくろうと活動が始まりました。その成功例が「燈花会」です。
         
  このイベントは、毎日200人以上のボランティアが灯りをともします。古都の歴史的な雰囲気に新しいアイデアを加え、さらにスケールの大きなもの作り上げていく……
  ぜひ、来年、新しい奈良を味わいにきてくださいね。

 
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