第21回 「大原女に、ヘ〜ンシン!!」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 山の緑が日に日に濃くなる季節、山里の景色が美しい大原を訪れました。
 大原では、「大原女(おはらめ)」の衣装を貸してくれます。大原女は、柴や薪を頭にのせて、街へ売りに行った女性のこと。大原のポスターによく描かれています。
 紺の着物に赤い帯を前で結び、着物のすそは短く、肩にはたすきをかけて。頭に手ぬぐい、足にはわらじ。変身完了で〜す! 農作業スタイルなので、動きやすく、特にわらじが地面にピッタリとくっついて歩きやすいのには驚きました。途端に、道行く人の注目を浴び、気分はすっかり大原女さん。

 三千院にある広々とした苔の庭は、杉木立の屋根に守られて色鮮やか。涼を感じる空間です。木漏れ日が苔の所々を照らしだし、光の模様をつくっていました。
 その光が照らす先に、苔に寝そべるわらべ地蔵を見つけました。両手で頬を支え、なんとも気持良さそう! 周りには、にっこり笑っているものや、二人寄りそっているもの……いくつもあってどれも今にも動き出しそうです。3度目の大原で、初めてわらべ地蔵に気づきました。大原女姿に喜んで、出てきてくれたのかもしれませんね。
  紅葉シーズンは、大勢の人です。でも今日は、人は少なく、立ち止まって、心ゆくまで夏の風情を味わいました。

 最後に、お気に入りの寺、宝泉院(ほうせんいん)を訪れました。柱を額縁に見立てた庭園は、絵のように美しく、時を忘れてうっとり見とれてしまいます。どこからか「カ〜ン!……キ〜ン!」という、水琴窟の音がかすかに耳に届き、まさに至福の時です。アジサイ、コスモス、紅葉と、四季を通じて何度でも訪れたい大原の里。その懐の深さに母のような安らぎを感じる場所です。


 
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