第20回 「古都、もう一つの古き良き横顔」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 「古都」というと、神社仏閣の印象が強いかもしれません。しかし、奈良や京都はそれだけではありません。江戸時代から続く住まいを守り続ける貴重な家並みがあるのです。

  今井町の町並みは、奈良市から南へ車で1時間の橿原市にあります。600軒中500軒が伝統的な町家です。

白壁に格子、瓦屋根の家々が整然と並び、まるで江戸時代の映画セットに迷いこんだよう。こんなに大規模に町家が残っている所はほかにありません。 しかし、訪れる人はまばら。昔ながらの造り酒屋さんや小物屋さん、それと重要文化財の家があります。町家に住む人やボランティアガイドが、丁寧に説明してくれました。 客に合わせた観光地でなく、ここに暮らし、守る住民たちが主役の町。その思いを感じて、ますます今井町を応援したくなりました。

 京都市から北へ車で1時間半。ビルの景色から一変、田園風景が広がります。山あいに寄せ合うかやぶき屋根の家々。ここは、美山町です。谷間の小さな集落は、50戸のうち33棟がかやぶき屋根。世界遺産の白川郷(岐阜県)の合掌づくり集落を思い出しました。違うのは、それほど観光開発されていないこと。ここには、巨大な駐車場も展望台もありません。でも、地区では「かやぶきの里保存会」を作り、お食事処や民宿などを運営して、私たちをもてなしてくれます。集落の規模は小さいものの、素朴な田舎の良さを感じ、急に懐かしさがこみ上げてきました。

 昔ながらの家を維持するのは大変です。かつて高度成長で時代に取り残され、各地で消えていった町並み。しかし、バブルがはじけ、立ち止まることに気づいた現代に、その価値を高めてきました。今、そこに住む人々は、故郷を一層誇りに思えるのでしょう。

 
マスコット骨犬君久保美智代さんのコラム
コラム1月号7月号
久保美智代さんのおしゃべり
おしゃべりで本音