第18回 「奈良発!考古学のすすめ」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 奈良には有名な社寺がいっぱいありますが、もう一つ、遺跡の宝庫でもあります。新しい発見がテレビや新聞で報じられると、決まって週末に現地説明会(通称ゲンセツ)が開かれます。今月も飛鳥京のあった明日香村であり、3000人近くが集まりました。

 朝10時、ゲンセツ開始時間に会場に着くと、すでに長蛇の列です。大半は年配の男性で、女性は少数派。入場無料で、受付ではカラー写真の解説パンフレットが配られました。

 飛鳥京の遺跡は、畑の一角にありました。柱や塀の跡らしきものがくっきりと残っています。大勢の考古学ファンを前に、発掘担当者が遺跡の中央に立って説明してくれました。それによると、遺跡は、7世紀後半の天武天皇の宮殿跡で、建物は高床式だったそうです。一つ一つ説明を聞いていると、当時の様子がプラモデルのように組みあがり、宮殿の優雅な生活が目に浮かんでくるから不思議です。近くの高松塚古墳に描かれたような人々の姿まで見えるようでした。

 この日は、700メートル離れた石舞台古墳わきの島庄遺跡でもゲンセツがあり、そちらは蘇我馬子の邸宅ということでした。

 しかし、宮殿にしても邸宅にしても、今回発掘されたのは、ほんの一部にすぎません。古代飛鳥の都はとても広大で、現在では住宅や道路、田畑になっているのです。そこを毎年、少しずつ少しずつ発掘して、徐々に全体像が明らかになっていくのです。本当に気の遠くなるような作業……。

 4500年以上前のエジプトのピラミッドでも、いまだに新しい発見が報道されます。解明されていないことがいっぱいあるからこそ、興味がつきないのでしょう。考古学の魅力がちょっと分かった気がして、うれしくなりました。
                                                   (おわり)

 

 
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