第17回 「ニュージーランド、偉大なる大地」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 


 ただ広い広〜い草原。そのはるか向こうに、突如、3つの活火山が姿を現しました。ニュージーランドの北島にあるトンガリロ国立公園です。
 今日は、古都を離れて、南半球、真夏のニュージーランドからの便りです。

 ニュージーランドでは、トレッキングが自然を体感する最高の手段です。道路は、日本のようにあちこちにあるわけではなく、公園をぐるりと囲むだけ。ホテルは限られたエリアに2軒しかありません。その代わり、トレッキングのコースがたくさんあるのです。
 その中で最も有名なトンガリロ・クロッシングを歩きました。天気は快晴。日本の約7倍という紫外線を防ぐため、帽子・サングラス・日焼け止めは必須です。川や滝を見ながら軽快に進んでいくと、1時間半で急な登り坂に差しかかりました。ごつごつした岩場を一歩一歩登っていきます。標高差300m。なんとか頂上に着くと、そこはクレーターでした。草木も生えない赤土だけの不毛の地。ただ、空をたなびく雲がとても美しく、元気が出ます。ふと見下ろすと、山のくぼみに青緑の湖が点在し、360度、自然のパノラマが広がっていました。これこそが、生まれたての地球の姿でした。
 実は、この景色には偉大な決断がありました。ここは、先住民マオリの聖地なのです。しかし、19世紀にイギリス人が定住を始め、1840年、マオリの首長は、自分たちの土地をイギリスに寄進する代わりに、聖地を保護する条約を結んだのです。そして、トンガリロは、ニュージーランドで最初の国立公園となりました。

 出発から8時間30分、ゴールに到着。鼻の頭だけが真っ赤に焼けていることにも気づかず、満足感でいっぱいになりました。
 トンガリロは、ここに宿ったマオリの精神と歩くことの楽しさを私に教えてくれました。
                                                   (おわり)

 
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