第16回 「薬師寺で、KOTO始め」

久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 


 夜空に浮かび上がった三重塔。黄金の光を放つ薬師如来。2005年は、奈良・薬師寺の光に満ちた境内で迎えました。

 古都の社寺は、除夜の鐘はもちろん、大晦日から元旦にかけて、ライトアップしたり、無料拝観できたりする所が多く、お正月ならではの特別な楽しみ方ができます。

 その一つが、薬師寺です。毎晩ライトアップしているのですが、普段は遠くから見るだけで中の拝観はできません。今夜の薬師寺は、昼間の賑やかさとは打って変わって、静寂に包まれ、神聖な雰囲気が漂っていました。特に、金堂に安置されている薬師三尊像は、明るく照らされ、まばゆいばかりに輝いています。これは、新年にふさわしい未来の光ではないか、と思ったくらいです。昨年は、災害の多い一年でしたので、今年は明るい年になりますようにと、仏像の前で吉祥天の熊手を持ち、福をかき集めました。

 

 

 

 

 「田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」
 「ハイッ!!」
 京都・八坂神社で毎年3日に開かれている、かるた始めです。色鮮やかな平安装束を着たかるた姫たちが、能舞台の上でかるた遊びに興じました。その優雅な様子にうっとりしつつ、いつしか、朗々と詠まれる歌に合わせて、口ずさんでいる自分に気づきました。隣に座っている年配の女性も歌っています。そういえば、子供の頃、お正月は、かるたで遊んだものでした。今の子供だったら、コンピューターゲームでしょうか?

 古都の行事には、今も変わらず続く伝統の確かさと懐かしさがあります。今年も、古都の話題でほっとしていただけるよう、お便りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
                                                   (おわり)

 
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