第13回 「日本の故郷、明日香村」
久保美智代 フリーアナウンサー 世界遺産ウォッチャー
 

 黄金色の稲穂が秋風に揺れています。今回は、日本の原風景が残る明日香村を大好きな自転車で駆け抜けました。

 明日香村は、ご存知のとおり、飛鳥時代に都が置かれた所です。それを示す遺跡や古墳が数多く点在しています。有名な石舞台古墳は、原っぱに突如現れた巨大な石のオブジェ。思わず駆け上がってしまいました。墓の中は、空洞で薄暗く、石の間からわずかに光が入るのみ。聖徳太子の宿敵・蘇我馬子の墓と言われていますが、未だ謎に包まれていています。ふと、イギリスのストーンヘンジを思い出しました。場所は違っても、巨石文化は人々をひきつけるのですね。

 そして、高松塚古墳も有名です。飛鳥美人といわれる石室内の4人の女性の壁画は、教科書にも載っています。しかし、外観は無残な姿でした。カビが発生したため、墳丘の木々が伐採された上、シートで覆われたのです。気を取り直して、壁画の複製を見学しました。なんと鮮やかな色使い! 一緒に描かれている太陽や月、星座は、中国の天文学で、大陸文化を積極的にとり入れた証です。今年、この壁画のルーツと言われる、北朝鮮の高句麗古墳群が、世界遺産になりました。外交上では、多くの問題がありますが、文化的には確かな繋がりを感じました。

 その他にも、蘇我馬子が発願した飛鳥寺や、大化の改新の舞台となった板蓋宮(いたぶきのみや)跡などがあり、あっと言う間に日が暮れていきました。

 明日香村。私の心を打ったのは、こういった歴史的に価値の高いものが、農村の日常として溶け込み、自然な形で見られ、触れる気軽さです。まさに、村全体が生きた博物館でした。日本の故郷の風を感じ、心が豊かになった気がしました。

 
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