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このコーナーは各界でユニークな活動をされている人の生きざまを、
インタビュー形式でお送りしています。
2月
 真野八郎氏に聞く

真野八郎氏まの はちろう

真野 八郎(昭和7年生まれ)
(株)真野建具製作所 代表取締役
http://homepage3.nifty.com/mano/
昭和23年4月10日 (株) 加賀田組 木製建具職人として入社
昭和30年8月31日 退社
昭和30年9月1日 独立 真野建具製作所 設立
昭和52年5月1日 株式会社 設立 代表取締役に就任
真野博氏現在に至

写真はテレビ東京で放送された番組から一部使用しております。

   

 今日は木へのこだりというか、いま建具の業界がどういう現状になっているかとか、そんな話を聞いていこうと思います。
 最初は歴史からいきましょうか。この仕事はいつごろから始めたんですか。

八郎 今72歳だから、独立してから50年近くなるかねぇ。
 あのころは高度成長期だし、新潟地震があったし、今と違って住宅には必ず和室が2部屋ぐらいあったし、まだサッシもない時代だったから仕事がいっぱいあって、非常に順調だったね。

真野氏建具 アルミサッシが出始めたころがひとつの転換期なのかな。それはいつごろ?
八郎 サッシが出始めたのは35年ぐらい前かな。それでもまだ住宅もわりに広かったし、日本の木を使った建物が好まれていたから、一軒の家で 100枚ぐらいの建具を使ったんじゃないかな。今でもうちでやっている高田建築のものだと既製のメーカーのものは使わないから、内部だけでも70〜80枚はあるからね。

 既製品を使うと値段が相当安いわけ。半分ぐらいになるの?
八郎 安いねぇ。我々がつくると戸1枚で2万円もかかる。それに大工さんが枠をつくるとそれが5000円とか1万円かかる。真野邸の様子今は根っからの大工さんとかが少なくなって、不動産屋とか素人みたいな人が営業して仕事をとって下請けに投げるという時代だから、既製品を入れてしまえばわりに利益が上がるんじゃないかねぇ。


 既製品の建具と本当の木を使った注文の建具ではどこが一番違うと思う?
八郎 既製品ではデザインにしても何にしても独自性がないね。大量生産だから。それに本物は湿度の調節とか空気の出入りとかがあって何よりも健康にいいんだね。それから本物の木を使った建具は長もちするし、古くなればなったで味が出てくる。いいところがたくさんあるよ。木目や木肌のおもしろさもあるしね。ベニヤ細工みたいな印刷ものでは、手あかがついたりシミが出てきたりするけど、本物は時がたつほどだんだんよくなるからね。
 我々が家を建てた時代には、2代も3代も、何百年ももつように考えて建てたけど、今の人は借金が終わらないうちに壊すような家を建てているんじゃないかと思うね。アパートの家賃がいま幾らだから、返済が幾らだったら自分の家が持てるとかいうことで。いい柱を一本父親が出してくれたとか、そういう建物じゃなくなったね。建物に対してこだわりがなさすぎるんじゃないかねぇ。
  返済に追われてなかなかこだわったこともできないんだろうけど。それに今は建てる世代が若くなったね。少し前はある程度年配の人が建てたけど。

 今はローンを組んで建てる人が多いから、逆に年を取ってからではローンが組めないんだよ。
 それに今回我々も家を建てて思ったけど、みんな忙しいから、実際に一つずつ建具のデザインを考えるような時間がないんだよ。例えばこういう建具が欲しいとかいうことは考えも及ばない。利益主導型のデベロッパーに任せてどんどんやっちゃう。こだわって、ここにはこういう建具をというふうに考える余裕が昔はあったんだろうけど、それがなくなったんじゃないかな。いま建てれば金利が安いから急いで建てなきゃとかね。

真野博邸八郎 そうそう。去年の暮れごろも、国の政策で来年から金利が変わるから今年じゅうに建てたいという人がだいぶいたみたいだよ。あれはまた延長になったようだけど。
 我々はむくの木ばかり使っているけど、今の30坪ぐらいの小さい家に住んでいる人は、私にいわせるとビニールの袋を2枚かぶっているようなものだね。建具はビニールだし、壁はクロスを張っている。高断熱、高気密なんていうけど、外壁の内側にビニールを張っているんだからね。それで24時間換気とかで換気扇をずうっとつけておきなさいとかね。そんなむだなことをしている。共働きで窓を開けるチャンスも少ない。そういう密閉した家に住んでいたらおかしな病気になるのは当然だと思うよ。

 我々も木の建具にして、そこからすきま風が入るほうがむしろいいと思ったのね。ビシッとパッキンでとめるとか、そんな必要はないなと。
八郎 その辺の考え方なんだよね。本物を木を使えば割れとか縮みとか、どうしても出るんだから。

 本当は地元で育った木を使って建てるのがいいんだろうね。
八郎 それはいいんだけど、高くてなかなか使えないんだよ。まず人件費が高いし、ちょっと山奥の木を切り出すには道路をつけなきゃいけないし。
 だけど実際は節のあるものを使ったりするとそう高くはないんだよ。節のないいいものを使えば何倍もするけど、本物のこだわりで、節はあってもいいとか割れは気にしないとかいうことで安く上げる方法もいろいろあるんだけどね。

 今は大和ハウスのチェーン店みたいものができて、結婚式場なんか中国製の建具が入っているんだからね。日本が指導して中国でつくらせる。デザインも寸法も大体同じものをつくるわけだし、チェーン店だから半年も1年も前から計画的に発注できるわけだよ。

 そういうのは見た感じはどうなの。
八郎 俺は見ていないけど、結構いいという話だよ。

 そういう意味で日本の建具の特徴というのは何だろうね。
八郎 我々は大きさも形もその部屋に合わせてつくるから、その家ごとの特徴が出せるんだね。既製だと高さも幅もみんな決まっているわけさ。本当は土地も建物の形もデザインして設計したなら全部違うわけだけど、今は逆に既製品に合わせて建物をつくるている。10軒建てたら10軒とも同じような戸が入っているよね。

工場風景 例えば金属は金属、アルミはアルミ、プラスチックはプラスチックのいいところがあるはずだし、アルミならアルミの色のまま、金属なら金属の光沢をそのまま残せばまだいいのに、木のふりをするというか、木の模様をつけたりする。クロスも本当の紙ならいいのに、和紙とか昔ながらの紙を張ればいいのに、ビニールでコーティングしたり、土壁ふうにしたり、木肌を真似てみたりする。そういう偽物みたいなのは非常によくないなとぼくは思うのね。
八郎 例えば玄関の戸でも、アルミで木を真似たようなものにすると、掃除をしなくてもいつまでも新しい感じがするんだよ。木の古くなった感じがかえっていいと思うんだけどねぇ。クロスも出始めのころは織物とかいろいろなものがあったけど、今はビニールの安物のクロスが主流になってしまった。
 そしてミサワでも積水でも、単価がものすごく高い家でも仕事をする職人は同じ人だというね。何が違うかというと、デザインも多少違うかもしれないけど、照明の傘とかドアの把手とかがちょっと高いものになるとかとかだと。
 ふすまの引手でも、今はプラスチックとか鉄板をガシャッとプレスしたものが主流だけど、ある家の建具をやったときに、手造りのものをつけてつけてくれと言われて入れたんだよ。一つ4万ぐらいのものを20個ぐらい使ったかな。彫金で、鳥とか花を彫って金とか銀を埋めてあって、値段もいいけど立派なものなんだよ。そうしたら、これは模様がちょっとずつ違うじゃないかと言うのさ。手造りだから違うのは当たり前だよと言って最後は納得してもらったけどね。その辺が手造りのおもしろさというかいいところなんだけど、そういうものがわかる人も少なくなったね。

 博 一つは、家を一戸建てるにはいろんな職人さんが来るけど、一般の人はそれぞれの職人さんの仕事がわからないんだよ。それぞれの職人さんが一般の消費者と話をして、わかってもらえるような環境をつくっていけば、昔ながらの本当の手造りのものが残るんだろうけど、たぶん高度成長のときに忙しかったからそういう文化がなくなったんじゃないかな。一般の人は、例えば建設会社の現場監督としか話したことがないから、何が本物なのかかわからない。安くて印刷ものできれいなものがいいと思ってしまう。みんながもっと職人さんと話をすれば、こういうものがいいんだということが勉強できるんだけどネ。
工場風景八郎 現場監督も、何十年もやってきた人というのは少ないのね。最近は特に専門校を出たばかりの人とか、全然わからない人もいるのよ。
 例えば桑の引手というのは染色してあって初めは真っ黄色なのよ。ある注文主が絵柄を見てあれがいいと言ったらしいんだね。それで入れたら、真っ黄色なものがついていると、こんなのを頼んだんじゃないと。それで監督が、あの引手を別なものにかえてくれとお客さんが言っていると言ってきた。何言っているんだと。これは今は染色してあっててこういう色をしているけど、時がたつとだんだん色変わりしてチョコレート色になるんだと、そういう材質のもなんだと。それでもというならプラスチックの10円ぐらいのにでもつけかえてやるから、そこをよくお客さんに話をしなさいと言ってやったんだ。そうしたらプラスチックのものより木の本物のほうがいいということになったけど、説明しようにも説明するだけの知識がないんだね。

 それに職人は建て主とほとんど会わなくなったからね。昔は会う機会があったけど、今は接触する機会が本当に少なくなった。今は大工さんじゃなくて不動産屋みたいな人が仕事をとってくる時代だから。

 今はスーパーの野菜でも何とかさんがつくったニンジンとかいっているけど、既製品じゃないものはそういうふうに顔が見えるようにしていくのも一つの作戦じゃないかな。
八郎 名前を入れるぐらいのことが必要なのかねぇ。

つづく>

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お二人の話はまだまだ続きますが この続きはまた次回に掲載いたします。

真野八郎氏プロフィール 番外

 越後新潟で、木製建具にこだわり、一般住宅から神社・仏閣や豪農の館などの木製建具を設計・製造。また、新潟ビックスワン(ワールドカップサッカーで使用された競技場)でワールドカップサッカー記念ボールを展示してある木製キャビネットの設計・製造も行いました。
現在では、「再生」と「本物」をテーマに、これまで廃材として捨てられる運命だった無垢の木の端材や古箪笥の金具に「あらたな命」を吹き込むべく模索中。

 晩酌の日本酒が健康のもと?、いまでも趣味の夏はゴルフ、冬はハンティングを楽しむ。
木製の仏像を彫ったり、あらたな木製品の開発に時間を使ったり、趣味と仕事の境がない。

 現在の住宅は、木製住宅といってもビニールクロスなどで囲まれ、窓や玄関も気密性の良いアルミサッシで塞がれています。これが原因でシックハウスの問題が大きくなりました。いま新しい住宅を建てると、電気を使って24時間強制換気システムを導入するように義務付けられています。なにかおかしくないですか?そうです、昔の家は、窓のすき間から絶えず空気が出入りしていました。いわゆる「すきま風」ですが、実は大事な働きをしていた様ですな。

 現在の住宅を外からみて「なにか物足りない」、「同じような家だな?」、「なにか安っぽいな?」と感じたことはないですか?木製建具の窓がおさまった昔の家の住宅を見たことはありませんか?窓や玄関は、人間に例えれば「顔」の役目を果たしています。どうして既製品の建具ばかり使うのでしょうか?自分のオリジナルの窓や玄関ドア−を考えて見て下さい。
木製建具は、心と身体に貢献します。

真野八郎氏 新潟中央競馬場(競走馬の厩舎は木製建具でできています。人間の住宅より高価な建具がおさまっています。)
中之口 沢将軍の館(復元された豪農の館)
木場 満行寺 庫裏
下塩俵 西方寺 本堂
新津 北上神社 本殿 神楽殿
角田山 妙光寺 本堂 祖師堂
諸法山 菅谷寺 庫裏
蒲原 浄光寺 山門
新潟市 護国神社 大拝殿

マスコット犬

今回の聞き役、
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