| シミュレーター実演見学
私20人ほどの見学者が入ると一杯になるようなシミュレータールームが、ひとたびシミュレーションのスイッチが入ると、広々とした東京湾に浮かぶ大型船のコントロール ルームに一変、変哲もない前方のスクリーン一杯に東京湾が映し出され、我々見学者15名は船首から海を見下ろしていた。航海長の号令で船はレインボウブリッジを潜り抜け外洋へと動き始めた。
危ない!対向船が向かってくる。「こんなことも出来ますよ」と冨久尾社長の一声で我々は小さい対向船の船首から今まで乗っていた我々の大型客船を見上げていた。自分と相手の立場を置き替えるなんて哲学的なシステムだと妙に感心する。「夜にしましょう。」美しいレインボウブリッジのイルミネーションが映し出される。
号令と確認のアンサーが飛び交い、若いシミュレーターチ―ムの皆さんの操船で、船はレインボウブリッジの橋脚の間を通り抜け無事外洋へ。会員諸氏は単なるスクリーンだった窓枠から画面いっぱいに広がる沿岸の施設を仔細に見たり、はるかな沖合いの船を探したりしている。
我々は小型の快速船に乗換えた。勿論シミュレーションの世界でのことだ。
「やって御覧なさい」と操舵のコントロールをまかされる。
「左だ」。「右だ」。とんでもない奴に操舵を任せたものだと、諸兄は懸命にそれぞれ指示を出すが、窓枠に全員立ちふさがって操舵機の場所からほとんど窓の外が見えない。目の前に近づいてくる岸壁を避けようとするのだが、コントロール不能に陥る。「窓の外が見えないので」と弁解すると、「船の操舵は全て命令と計器によります。外は一切見ません」といわれた。そういえば操舵機の前には計器が並んでいた。何を表示していたのだっけ。
この操船シミュレータを使って強制水先免除試験を実施しているとのこと。一定の航海履歴のある船長さんが、技量の確かさをこのシステムでチェックされるのだ。このほど100回目の講習会が実施されたと新聞に大きく報道されていた。操船のステップを全て記録しトレイスできるこのシステムはさぞかし有効なものだろうと思われた。
日本海洋科学社では操船シミュレーター技術を武器に、新たなビジネス分野を開拓しようとしている。港湾施設設計などのコンサルティングへの活用だ。
若い皆さんが、若々しい技術を手に新分野のビジネス開拓を目指す姿に深い感動を覚えた。しっかり応援のエールを送らせていただく。
お世話いただいた日本海洋科学の社員の皆様、ありがとうございました。
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