「 この1冊と私の死生観」
                 
創生神話         民族の潜在意識は神話を見よ。 
(開闢神話)
       ――天と地が開かれて世界が始まる。――
                 それは意識の誕生を意味している   

                                      
堀添 勝身  (68)
(財)ユースワーカー能力開発協会
理事長JICA日本センターOB会 代表 

   (1)原両親が分離するという形
  (2)卵の殻から天空と大地を作ったという形
  (3)死体化成、死体から世界ができたという形

 日本神話は天と地が分かれることには関心を示さず天と地が分かれたことを前提にして、その後なにが起きたかを物語り、出現型になる。「成りませり」でポッと現れる。植物イメージ。意識の誕生の仕方が「なし崩し的」である。イザナギ―イザナミ神話のように両性による出産で島を生むという型は日本が唯一の例。

日本神話の特色は―-習合。出現型と海水型と出産型のつなぎあわせ。

いろいろな特徴が共存しているのが特色である。たとえば神仏習合。

「天地初めて発りし時」という言葉で始まる。

タカアマノハラ(高天原)に成りませる神の名は、アメノミナカヌシ(天之御中主)の神、次にタカミムスヒ(高御産巣日)の神、次にタカミムスヒ(神産巣日)の神、この三柱の神は、みなヒトリカミ(独神)と成りまして、身を隠したまひき。

兄妹にして夫婦の神、イザナギノミコトとイザナミノミコト。天のヌボコ(沼矛)。

「こをろこをろ」「その矛の末より垂り落つる塩の累なり積もりて」島となる。

・ 脂、クラゲ、葦牙―――形がはっきりしないのが特徴、意識が薄明の時代
・ 天の沼矛―――天の高いところから意識が無意識に対して働きかけるイメージ。
・ 天の浮橋―――かき回すための支点の役割り。天と下界をつなぐ役割り。
         非常に精神性をもった意識というものが成立。
・ 攪拌――中心点の回りを法則的にグルグル回る。無秩序な無意識とは対極の秩序的原理。
      高度な精神的なエネルギーが意識を生み出したと解釈。
・ 島=意識の中心の誕生――混沌の海から出現した最初の意識。世界の中心。宇宙論的・      
         いきいきと具体的に描いた世界でもあまり例のない価値ある部分。
・ 天の御柱―日本の神様は水平の彼方にいる祖先神と縦、天のほうにいる神と2種類ある。
@ 人間の生命と宇宙生命は「一すじの流れの中にある」

 *潜在意識と実在意識*
 生まれたての赤ちゃんは、潜在意識のみ生存しており、実在意識は全然有あるか無いかの状態である。環境が児童をつくり、児童期にいると児童それ自身が児童をつくる。
 実在意識が直接させる動作は、繰り返しにより、今度は半意識的にか無意識的に行える。
心臓の鼓動、肺臓の伸縮運動、胃腸の消化作用などは潜在意識の働きで行われる。

 「潜在意識は創造の心を司る心である」
我々の肉体は、潜在意識の支配下で間断なく新しい細胞を生み出す、創り出す(例:鋼鉄の指ならば摩滅してしまう)
「日々我々は新しく生まれいで、朝毎に甦っている」

心の態度=精神状態で、肉体を更生する「再生力」が深く関係している。
(血液の中にあるバクテリアを殺してしまう要素の例)

「潜在意識その上に映された印象のまにまに作用する」
また潜在意識は建設と破壊の二方面に微妙な力が作用する。
暗示の無条件感化。(心のもち方=心がけ=が大切)

潜在意識は、実在意識を通じて、宇宙大霊と結ばれている。
いかなる場合にも虚心平気の気持ちになれるように、実在意識の態度を入念に心がけ、訓練しなければならない。(潜在意識のクリーニングを毎日しているかどうか)

               人間本来自覚の誦句

人は万物の霊長として 宇宙霊の有つ無限の力と結び得る 
        
奇しき働きを有つものを  その心の奥に保有す

かるが故に かりにも真人たらには 徒らに他に力を求むるなかれである

人の心の奥には 潜在勢力という驚くべき絶大なる力が 
常に人の一切を建設せんと  其潜在意識の中に待ち構えて居るが故に 

如何なる場合にも 心を虚に 気を平らにして一意専心に 

 

<平成19年8月三水会例会参考資料・・・>

 特別対談:
老いること、死ぬこと (文芸春秋 2007年9月特別号)
瀬戸内寂聴・石原慎太郎
老いてこそ人生―世阿弥と釈迦から学ぶ死生観           

瀬戸内「私はこの五月に『秘花』という世阿弥の晩年を描いた小説をだしたんですけど、自分自身八十歳を越えて、いよいよ肉体的な衰えを越えて感じるようになったことが、この本を書くきっかけでした。」
石原「じゃあ瀬戸内さんが自分の老いを感じだしたのは八十歳ぐらいということ。」
瀬戸内「実は、八十五歳のいまもまだ感じてないのよ」(笑い)

老いずに衰弱した三島由紀夫
石原「『老い』と言えば、三島由紀夫さんほど、『老い』を怖れ憎んだ人をしりません。」
瀬戸内「三島さんは老いる事が怖かったんですね。 あんなに怖がるというのは、どういうことかしら?」
石原「三島さんは、ボディービルをやりだしてから、すごく自信を持っていました。・・」

出家の本当の理由は?

 石原「男にとって、年をとるほど、女性は官能的なものになってきます。 それはセックスするとか、しないとかじゃありません。 例えばゴルフ場で、若いキャディがボールを拾うとしてしゃがむでしょう。 そうするとお尻の線がくっきりでる。 そのとき感じるエロティシズムは、決して情欲的なものじゃなくて、端的に肉感的なものなのです。 ああ、美しいな、若くていいなと思う。・・・ああっ、きれいな子だなとか、官能的だなあと感じることには若い頃より敏感になったな。」
瀬戸内「私は芸術はエロスだと思っているんです。だからエロスの匂いのないものはイヤなの。・・・」
瀬戸内「女を見てきれいだと思うのは、ワクワクしている証拠。 それがなくなったらダメです。 私はそれがなくなりつつあって、一生懸命かき立てているんです(笑い)。 それがないと小説は書けません。」
石原「出家の本当の理由は書いてないですね。なにがきっかけなの?
瀬戸内「あのときは小説の連載もたくさん抱えていたし、おつきあいしている男性もいました。でもそういうものにも飽き飽きして、見るべきものは見た、と思ったから出家したんです。他人より濃い生活していましたからね。」
石原「いやいや、それは本当の理由じゃないでしょう(笑い)。まだ言えないのかな。」
瀬戸内「ふふふ。ただ出家したのは五十一歳の時だったから、ちょっと早まったかなとも思いますけど(笑い)。


死は最後の未知、最後の未来

石原「僕はこのごろむしろ、『老い』の先にあるものを考えると面白い。やっぱりボケずに死にたいんです。なるほど自分はこうやって死んでいくんだ、と思いながら死んでいきたいなあ。ウラジミール・ジャンケレヴィッチっていうソルボンヌ大学の哲学の主任教授が、『死とは何か』という面白い本を書いています。いろんなアングルから『死』について考察して、彼に言わせると『死』は、人間にとって最後の未知なるもので、最後の未来だと。だから、このとしになると、自分自身の死について、尽きせぬ興味がある。」
石原「僕は僕なりの解釈で『法華経』をよく読むんですが、お釈迦様はとっても大事なことをおっしゃいます。 お釈迦様が、私とおまえは師であり弟子である同じ関係を繰り返すんだよ、何千年前もそうだったし何千先も年そうだといっているのは、『輪廻転生』という言葉だけではわかりにくくて、現実を超えた遠い遠い過去での人間関係がレファーされて、いまのじぶんがあり、未来もあると言うことになるんです。それを哲学として説いたのは、仏教だけです。『法華経』を読むと、時間や空間という概念がほんとによくでてきて、それは現代数学で言う集合論にとても近い。 まあこれは、漢訳をした鳩摩羅什の創作かもしれませんが。
そもそも哲学は存在と時間を考える学問として発生したわけです。 そして存在の先には必ず消滅としての『死』がある。ジャンケレヴィッチは、『人間はだれもが必ず死ぬと言うことを知っている。しかし、この自分が必ず死ぬことを信じていない。』とも言っています。
『死』についても、その前提である『老い』についても、誰しも知って心得てはいるが、それがいざ自分のこととなると誰も信じたがらない。 そのへんが人生の味わいであり、人間の弱さであり、面白さだと思いますね。」

「あの世」と「この世」

石原「・・・私は、仏教愛好者けど、仏さんの言っていることを聞いていると、救われるんですね。」
瀬戸内「仏教徒は、『死』が終わりと思ったら宗教者になれません。『あの世』があると思うところに仏教がある。 でも他の宗教も似たりよったりじゃないですか。 キリスト教徒だって天国を想定します。 私は肉体は焼かれても、魂はあると想っています。でも、今大ヒット中の『千の風になって』私の魂はお墓にいません。どこかを風になって飛んでいますーーなんてことを言われたら、坊主は困ります。」

日野原重明さんの階段二段飛び

石原「日野原重明さんが『ちょっとしたことを設定して、それに挑戦すると力が出てきますよ』と言うんです。
瀬戸内「日野原先生は階段を二段飛びなさいますよ。 私はこの目で見ています。」
瀬戸内「死んであの世へ行ったら、向こう岸にズラーっと、仲良くしていた男たちが並んでたりして。 その夜は歓迎パーティよ。 死もまた愉し。」

 
 
氏  名
紹介本とテーマ
 
伊藤 公博 二宮翁夜話   福住正兄著
岡本 好廣 われわれは何故死ぬのか   柳沢桂子著
栗生 晴夫 人は死ねばゴミになる   伊藤栄樹著
森   毅一 万物の死   小原秀男編
小寺 隆三 秘花   瀬戸内寂聴著
木村  勉 日本人の死者の書―往生要集の
(あの世)と(この世)
大角修著
湯沢 勝利 “How to”の視点からの死生観  
伊藤 公胤 西行花伝   辻邦生著
平井  保 夜と霧   ヴィクトール・E・フランクル著
野口 幹夫 主を覚え、 死を忘れるな   雨宮栄一著
堀添 勝身 民族の潜在意識は神話を見よ  
小関  栄 生命の暗号上、下   村上和雄著
鈴木  登 たった一度の人生だから  日野原重明・星野富弘 対談