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| 『 生命誕生 』を見て考えたこと | |
北海道医療大学歯学部生化学講座教授 田隈泰信
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ドーキンスの「利己的な遺伝子」を持ち出すまでもなく、生物は子孫を残しDNAの連続性を維持するためには、どのようなリスクも厭わなかった。上流の産卵場所にようやくたどり着いた傷だらけの鮭、ロッキーの断崖絶壁で角を激しくぶつけ合う野生の羊、前の雄を追い出し、後から来る若い雄にプライドを追われ飢え死にするライオン。皆、子孫を残せというDNAの指令に従い、命がけで戦っている。厳しい生存環境を生き抜いてきた人類も例外ではなかったろう。しかし、人類は今ようやく子孫繁栄という38億年続いたDNAの脅迫から解放されたようだ。子孫を残さなければという危機感は既に誰の意識にもない。当然だろう、地上は人類で埋め尽くされている。ただし、人類がDNAの脅迫を無視するようになったのは、少子化を危惧する一部の人々がいう、子育ての環境が悪化したせいではない。野生生物を見れば分かるように、DNAの脅迫は、生存環境が厳しいほど、むしろ強いのである。無論DNAに、年金制度を維持するため子孫を残せ、という指令が書き込まれているはずもない。
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