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私が歩道を猫背で歩くその横を、女性上司が「ハーイ!」と自転車で颯爽と抜き去っていくなんてことがよくあります。私の勤務先では、約15%もの社員が自転車通勤です。
というのも、日本と比較して、自転車の社会的地位が圧倒的に高いというのもその理由でしょう。路上ではクルマと同等の扱いを受けますし、ドライバーも自転車に気を使ってくれます。しかし一方で、クルマと併走する専用レーンしか走ることは許されませんし、交差点ではクルマと混ざり合ってしまいます。さらに、歩道は走行禁止です。
ですから、街中を走る自転車には「ママチャリ」のような軟弱なイメージはありません。
クルマと同等に、より高速(時速30〜40kmくらい)で巡航するために、たとえお買い物用自転車であっても、変速機は18段や21段ギアがあたり前で、フレームも頑丈なものになります。年5フランの傷害保険加入も強制されますし、ヘルメットはほぼ全員が被ります。
さらに歩行者に対しては紳士的な態度が求められます。とても制約が多いのですが、こうした義務を果たした上で、自転車乗りとしての権利を得ているという構図は、非常に納得できるものがあります。購入するとなると、フランスやドイツではもう少し安い値段で買うことができるようですが、スイスでは一台約1,500フラン(約15万円)前後が相場のようでして、いろいろと好みの仕様にすると30万円くらいとなり、決して安い買い物ではありません。また、盗難されることも少なくありません。
実際に、借りた自転車で何回か片道5kmの通勤に挑戦したところ、意外に快適でした。レーンチェンジのために左手を上げて合図すると、後続のクルマは道を譲ってくれますし、信号発信の時は、私が加速し終わるのを見計らって、追い抜いてくれます。とはいえ、変速を誤ると、緩い登り坂でも全く前に進まず、おばあさんの乗る自転車に軽々と抜かれるといった情けないことも起こります。また、ヘトヘトに疲れて休憩しなくてはならない、巨大頭の私にはサイズの合うヘルメットがない、そもそも、自転車に乗って足が届かないなど、継続するにはあまりにも厳しい現実が待ち受けていたのでした。
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