第14回 クリスマスツリー

赤 単 
 
 
 

 日本でいうクリスマスは、どちらかというとお正月の前座みたいな位置付けですが、カトリック教徒が多数を占めるスイスでは、やはり、クリスマスこそが主役です。お正月は元日だけが休日となる、実にあっさりとした扱いになります。

  ですから、バーゼルおよびその周辺の街では、11月下旬から、街中がクリスマスに向けてソワソワし始めます。あちこちに持ち込まれた大きなもみの木、広場に続く商店街、周辺の住宅地、はたまた、建設用に据え付けられたクレーンまでもが、ここぞとばかり、派手な電飾を施されます。


  個人的には電飾よりも、風情のある昔ながらのクリスマスマーケットが好みでして、中心街のBarfusserplatz(バフューザープラッツ)を始め、各広場に三畳ほどのスイスっぽいの木製の小屋が集まり、にわかマーケットができあがります。それぞれの店が刺繍、織物、人形、革製品、各種装飾品といった民芸品、工芸品の専門店でして、たくさんのお客さんが集まってきます。中でも目を引くのが、クリスマスツリー用の装飾品です。金、銀、赤、青、白色のツリー飾りは、デザイン、種類共に豊富で、これだけたくさんあると、ついつい買い揃えたくなってしまいます。


 満艦飾にディプレイされたツリー飾りをじーっと眺めていた息子は、やがてうつむき、「クリスマスツリーが家にないのは僕の家が貧乏だからかな。」とポツリ。普段から「鼻の穴が大きいくせにケチ。」と家族から揶揄されても平気な私も、この泣き落としには抗いきれず、一通りの装飾品を、奮発して買ってしまいました。

  さて、当然ながら、もみの木も買わなくてはなりません。スーパーなどに行けば、通常、根元を切られた生木、鉢植えに入った生木、人工ツリーの3つのうちから選べます。当初、鉢植え生木がいいかなと思っていたのですが、ちょっと持ち上げてみた際に、
手袋についた針葉樹独特の松脂の臭いが意外に強烈で、しかも、柔らかそうに見える葉も、実際に触るとかなり痛いため、あえなく人工ツリーに方針変更となりました。

 ということで、クリスチャンでもない我が家に、ニセモノのクリスマスツリーがやってきました。
今は、イエス様がこういった不心得者の父親をお許し下さるよう、ただただ祈るばかりです。

(次回をお楽しみに ・・・)
 
マスコット骨犬君