第6回 移動遊園地

赤 単 
 
 
 

 日本の都市と比較すると想像しにくいのですが、バーゼルは中心部から5kmも離れますと、小さな集落、森、林、牧草地となってしまいます。これだけ土地があれば、「アミューズメントパークでもつくってお客を集めるかな。」なんて、不動産屋さんや地方自治体の振興課の人たちが考えつきそうですが、不思議なことにバーゼルにはそういった遊園地の類のものがありません。


 でも、ないのであれば、来てもらえばいいわけで、バーゼルの人たちが「Herbstmesse」と呼んでいる移動遊園地(業者の人たち)が実際にやってきます。10月末から3週間、大聖堂の横に大きな観覧車が組み立てられますので、通勤などしていると、ああ今年もやってきたと気がつきます。伝統的なメリーゴーランド、コーヒーカップ、射的、大道芸などから、お化け屋敷、海賊船探検といったストーリー系のもの、さらに、物理的ショック系の巨大ブランコ、ジェットコースターまで、ほぼ一通り揃ったアトラクションに、ひとつずつお金を払って遊ぶ仕組みです。


 賢いことに、これらのアトラクションはいくつかにまとめられ、市内の数箇所の広場に分散して設営されるので、広場間はトラムなどで移動しなくてはなりませんが、混雑はほどほどになり、非常に遊びやすくなるメリットがあります。最新設備といえるのかどうかわかりませんが、年に1度なら十分の楽しさです。遊園地の期間が終わると、観覧車はバラバラにされて、またもとの通り静かな広場に戻ります。


 先日、職場の仲間たち(ドイツ人)からビールでも飲もうと誘われたので、付き合ってみると、「Messe Basel」という見本市会場に設営された遊園地でソーセージをかじりながらの立ち飲みでした。「30過ぎのオジサンたちが寒い中、遊園地で立ち飲みビールかい?」と愚痴も出かかったのですが、彼らはたまにやって来る遊園地の喧騒を本当に楽しんでいたのでした。

(次回をお楽しみに ・・・)
 
マスコット骨犬君